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Social 社会

人権の尊重

「人権の尊重」についてご紹介している住友商事のサステナビリティページです。

人権方針

当社は、国際的な要請や事業環境の変化を踏まえ、2026年に人権方針を改定しました。新たに「テクノロジーと人権」「環境と人権」を追加し、特に重要な人権課題を9項目に再編しました。また、是正・救済に向けた取組や苦情処理メカニズムの導入・運用状況を反映したほか、経営会議における承認や、監督責任について明記しました。

人権方針

2020年5月 制定
2026年7月 改定

住友商事グループは、「住友の事業精神」を基盤とし、人間尊重を経営の根幹に据えています。人権の尊重を、持続可能な社会の実現と当社グループの企業価値向上に不可欠な経営上の重要課題として位置付け、事業活動のあらゆる局面においてこれを尊重します。

  1. 適用の範囲
    住友商事は、本方針の策定・実施に関する最終的な責任主体として、グループ各社と本方針を共有するとともに、すべてのグループ役職員が人権尊重の責任を果たすよう努めます。
    また、当社グループとして、 取引先・事業パートナーに対し、本方針への賛同と理解、実践を求め、関係するサプライチェーンにおけるステークホルダーに対して、ともに人権尊重を含む社会的責任を果たすよう働きかけていきます。
  2. 適用法令の遵守・国際規範の尊重
    当社グループは、「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」および「国連グローバル・コンパクト 10 原則」をはじめとする人権に関する国際規範を尊重し、これらの原則に基づき、3.~10.の内容を含む事業活動を行います。
    また、当社グループは、グループ全体の事業活動において、関連する国・地域の法令を遵守します。国際的に認められた人権と各国法の間に矛盾がある場合においては、国際的な人権規範を尊重するための方法を追求します。
  3. 事業活動に関わる特に重要な人権課題
    1. (1) 適切な労働賃金・時間
      当社グループは、適用法令および国際規範を遵守し、生活賃金の適切な支払いと十分な休息の確保に努めます。
    2. (2) 安全で衛生的かつ健康的な労働環境
      当社グループは、安全で衛生的かつ健康的な労働環境を提供し、労働災害および職業疾病の予防に努めます。適切なリスク管理、教育および継続的改善を通じて、従業員の身体的・精神的健康の確保を図ります。
    3. (3) 差別、暴力およびハラスメント
      当社グループは、あらゆる差別、暴力およびハラスメントを禁止し、平等な機会と待遇の公平性を確保します。また、個々人の個性および多様性を尊重し、尊厳と敬意に基づく、インクルーシブな職場環境を目指します。
    4. (4) 強制労働・児童労働
      当社グループは、強制労働、人身取引、債務労働などあらゆる形態の非自発的労働を禁止します。児童労働を認めず、若年労働者については安全、健康および教育機会に配慮した保護措置を講じます。
    5. (5) 結社の自由および団体交渉権
      当社グループは、従業員の結社の自由および団体交渉権を尊重します。
    6. (6) 事業活動により影響を受ける人々の権利
      当社グループは事業活動によって影響を受ける地域住民および先住民、並びに従業員の基本的人権を尊重します。とくに先住民の伝統的な生活様式や自由意思による事前かつ十分な情報に基づく同意を重視します。 また、人権擁護者の活動の正当性を認識し、脅威、嫌がらせ、不当な制限や報復を容認せず、安全で開かれた対話環境の確保に努めます。
    7. (7) プライバシー・個人情報の尊重
      当社グループは、プライバシーを基本的権利として尊重し、個人情報の収集、利用、管理において適用法令および国際規範を遵守します。不正アクセス、漏えいおよび不適切利用の防止に努めます。
    8. (8) テクノロジーと人権
      当社グループはAI含むテクノロジー開発・利用に伴う人権への配慮を重視します。差別的なバイアスの除去と公平性の確保、透明性・説明可能性の確保、人間による最終的な判断・関与の確保に努めます。
    9. (9) 環境と人権
      当社グループは、地球環境が人権に負の影響を与えることを認識し、気候変動、生物多様性、水資源などに配慮した事業活動を通じて、人々の健康および生活への負の影響の防止・軽減に努めます。
  4. 人権デュー・デリジェンス
    当社グループは、人権デュー・デリジェンスの取り組みを通じて、自らの事業活動が引き起こし、助長し、または当社グループの事業、製品もしくはサービスと取引関係等を通じて直接関連する人権への負の影響を特定し、その防止、または 軽減を図るよう努めます。紛争影響地域および高リスク地域においては、人権侵害のリスクが高まることを認識し、国際規範に基づき強化されたデュー・デリジェンスを実施します。
    当社グループの活動が人権に負の影響を引き起こし、または助長したことが明らかになった場合、適切な措置を講じることでその救済に努めます。また、当社グループの事業、製品またはサービスが取引関係等を通じて人権への負の影響に直接関連する場合には、当該影響の防止または軽減に向けて適切に対応するよう努めます。
  5. ステークホルダーとの対話・協議
    当社グループは、事業活動に関連する労働者、先住民、地域コミュニティ、市民社会団体などのステークホルダーとの双方向での対話と協議を通じて、人権尊重の取り組みの向上および継続的な改善に誠実に取り組みます。
    また、対話においては、報復や不利益を排除した安全性を確保するとともに、各ステークホルダーの視点を重視し、言語、文化、社会的立場などに配慮した包括的かつ透明性のある対応を実行します。
  6. 是正・救済
    当社グループは、人権への負の影響を引き起こし、または助長したことが明らかになった場合、適切なプロセスを通じて是正・救済に取り組みます。
    また、直接の契約関係に限らず、事業活動を通じて直接関連する場合には、影響力の行使を通じて改善に努めます。
  7. 苦情処理メカニズム
    当社グループは、事業活動およびサプライチェーンに関連する人権への負の影響を把握し、対応するため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」第31原則に則った実効的な通報および苦情処理の仕組みを構築します。
    影響を受ける可能性のあるすべてのステークホルダーが利用可能なものとし、匿名性および安全性を確保するとともに、報復や不利益の防止に配慮します。
  8. 社内啓発
    当社グループは、本方針が理解され、効果的に実施されるよう、当社グループの役職員に対し、適切な啓発活動を推進します。
  9. 情報開示
    当社グループは、人権尊重の取り組みおよびその進捗について、定期的に適切な情報開示を行います。
  10. ガバナンス
    本方針は、住友商事における経営会議、取締役会にて付議・決議された上で、サステナビリティ施策を管轄するコーポレート担当役員が本方針の遵守・実施状況を監督する責任を負います。
    また、本方針は、住友商事の責任のもと、適用法令・国際規範および事業環境の変化を踏まえ、所定の手続に従い定期的に見直し、必要に応じて改定します。
  • 本方針における「住友商事グループ」および「当社グループ」とは、住友商事単体および連結子会社を指します。
    なお、持分法適用会社については、当社の影響力の範囲内で、本方針の趣旨の理解と実践に努めます。

労働基準に関連する国際規範や法令の遵守

当社グループは、国連グローバル・コンパクト 10 原則及び国際労働機関(ILO)が中核的労働基準として定めている5分野10条約「結社の自由・団体交渉権の承認」「強制労働の禁止」「児童労働の禁止」「差別の撤廃」「安全で健康的な労働環境」を支持、尊重するとともに、事業活動を行う世界各国の法令を遵守し、人権課題に取り組んでいます。特に、「差別の撤廃」に関しては、人種、国籍、性別、宗教、信条、年齢、出身、身体的・精神的障害、その他業務の遂行と全く関係のない事由に基づく差別をなくし、職場における機会均等に努めます。また、各国の労働基準や労働協約に基づき、最低賃金の遵守にも取り組んでいます。

子どもの権利の尊重

世界人口の多くは子どもや若者で占められており、当社グループがグローバルに企業活動を行うにあたって、直接的にも間接的にも子どもの生活に影響を及ぼすことを認識しています。企業にとって子どもは、従業員の家族でもあり、さらにはこれからの社会の持続的発展を担う重要なステークホルダーです。こうした認識に基づき、当社グループは、国連グローバル・コンパクト10原則に署名するとともに、「子どもの権利とビジネス原則」の内容を尊重し、事業活動および社会貢献活動を通じて子どもの権利が侵害されることがないよう取り組んでいきます。

先住民の権利の尊重

当社グループは人権尊重へのコミットメントの一環として「先住民族の権利に関する国際連合宣言」「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(free, prior and informed consent:FPIC)」の原則などの、先住民の権利に関する国際規範を尊重します。また、先住民が在住する地域での事業活動においては、先住民が有する固有の文化や歴史を認識し、それぞれの国や地域で適用される法令を遵守します。

警備会社起用に関する考え方

当社グループは、世界各国で事業展開を行うにあたり、従業員の安全・安心を守るため警備会社を起用します。必要に応じて、武装警備員を起用することもありますが、起用にあたっては、それに伴う人権リスクを認識した上で、事業活動を行う各国の法令を遵守するとともに「安全と人権に関する自主原則」や「法執行官による力と銃器の使用に関する基本原則」に沿った警備会社の選定を行っていきます。

株式会社ディ・エフ・エフ

人権デューデリジェンスの実施・進捗

当社は、「人権方針」に基づき、当社グループの事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、2020年より人権デューデリジェンスを開始しました。2020年度は、その最初のステップとして、グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、優先的に対応すべき顕著な人権課題の特定に取り組みました。2021年度から2024年度にかけては、社外有識者を起用し、全事業を対象に人権デューデリジェンスを実施し、人権リスクの特定と評価を行いました。

全事業を対象とする人権デューデリジェンスが一巡したことから、今後は、ライツホルダーとのエンゲージメント等も含め強化した人権デューデリジェンスの実践などを通じて、リスクベースアプローチで取り組んでいきます。リスクベースアプローチで人権デューデリジェンスに取り組むためには当社グループにおける人権リスクが高い事業の特定が必要なことから、2024年度は、これまでの人権デューデリジェンスの結果および各事業の特性・リスク等も踏まえた全社的なリスクマッピングをおこないました。具体的には、OECDが定めるデューデリジェンスのガイダンスに基づき、4つのリスク要因(セクター、製品、地理的、企業固有)を踏まえつつ、サステナビリティ・アドバイザリーボードを含む社外有識者の意見を得ながら、高リスク事業の特定に取り組みました。
リスク要因の検討に際して、以下のような文献、規制、外部指標等を参照しました。

セクターや製品のリスク:SASB Standards, 米国労働省「List of Goods Produced by Child Labor or Forced Labor」など10超の文献、規制
地理的リスク:Global Rights Indexなど

また、各セクター・製品のリスクの整理においては、当社グループの8つの顕著な人権課題に「顧客の健康と安全」「サプライチェーン上流の課題」の2つを加えた計10項目とし、それに地理的リスクを加えてマッピングを行い、以下のように整理しました。

  1. 各セクター·製品のリスクは、作成当時の当社グループにおける人権課題に「顧客の健康と安全」「サプライチェーン上流の課題」の2つを加えた計10項目で整理したもの
  2. 地理的リスク観点での一部地域の事業のみ

人権リスクへの対応については、そのリスクの深刻度や事業への関与度合い等、さまざまな要因によって対応方法や時間軸が異なることから、各SBUや事業会社が主体となり実施していく必要があります。特定・評価した人権リスクについては、その重要性に基づき、SBU・事業会社が優先順位付けをした上で、具体的なアクションプランに落とし込み、リスク対応状況の確認、リスク顕在化の防止を含む必要な施策の実施を行い、PDCAサイクルを回していきます。

【参考】過去の全事業への人権デューデリジェンス

  • 過去の全事業への人権デューデリジェンスについては、2024年4月1日付の機構改正前の事業部門別に実施したため、当時の事業部門別での記載となっています。

これまで当社では、デスクトップ調査で、当社グループの事業における人権課題を8つの顕著な人権課題を中心に俯瞰的に洗い出し、他社も含めたグローバルで発生している顕在化事例等も参考に、相対的に人権リスクが高いと思われる事業部門から人権デューデリジェンスを実施してきました。

具体的には、外部専門家を起用し、部門に属する全てのSBUに対してインタビューを実施し、それぞれの事業におけるサプライチェーンや事業活動に関連する地域住民等、ステークホルダーへの影響を含めたビジネスの実態や顕在化事例を確認するとともに、想定される潜在的リスクについても特定し、それらに対する対応状況もヒアリングしました。ヒアリング結果を踏まえて、人権リスクの発生可能性と発生した場合に生じる深刻度の観点から、優先してリスク低減に取り組むべきSBU、あるいはSBU内の個別事業を特定しました。以後、サステナビリティ推進部と対象SBU・対象事業会社が協力し、特定された人権リスクに対する具体的な防止・軽減策の検討・実行を進めています。また、このプロセスを通じて、改めて住友商事グループの役職員に対して、企業の人権尊重に係る責任について理解・浸透を促しています。

部門別の人権デューデリジェンスのプロセス
  • 部門別人権デューデリジェンスで特定した優先的に取り組むべきSBU/事業以外についても、人権デューデリジェンスの実施を促進。
2024年度に実施

エネルギー・イノベーションイニシアチブ

森林事業、林産物調達関連の事業を展開する同イニシアチブにおける人権リスクについては、森林経営方針、林産物調達方針に基づき、先住民の権利や労働条件、労働安全衛生などを中心にサプライヤーも含めて年次で状況確認を実施しており、問題が生じていないことを確認しています。

今回の部門別人権デューデリジェンスにおいては、それ以外の事業に関してインタビューを通じた状況確認を実施しました。事業の特性を踏まえ、労働安全衛生や労働条件、地域住民の健康安全といった人権リスクを中心に確認を行った結果、人権リスクの顕在化、および手当てがされていない潜在的な高リスクは確認されませんでした。

2023年度に実施

輸送機・建機事業部門

当社グループの事業における8つの顕著な人権課題
主な人権課題 特定された顕在的・潜在的リスク 評価・対応策
労働条件
労働安全衛生
結社の自由と団体交渉権
  • 自動車鋳造・部品や船舶の建造等、製造現場を有する事業においては、労働者の安全衛生や労働条件への留意が必要。
  • 安全管理推進体制(労働災害リスク低減プロセス、労働災害発生率目標と達成施策)、災害発生時の再発防止等のPDCAプロセスに問題が無いことを確認。
  • 外国人技能実習生の起用状況や労働条件・労働安全衛生に関して労働者に負の影響が及ばないように配慮している点を確認。
強制・児童労働
  • 自動車部品・産業機器等の製造事業において、調達する原料などサプライチェーン上流における強制労働に留意が必要。
  • 一部事業では、サプライヤーに対して調達物のトレーサビリティを確認するとともに、当社グループの「持続可能なサプライチェーン行動指針」や「人権方針」を周知し、サプライチェーン上における人権侵害リスクの更なる低減に向けて取り組みを強化していることを確認。
個人情報プライバシー
  • 自動車・自動車二輪のファイナンス事業、駐車場事業、個人向けの車両リース事業において、個人情報の漏洩、プライバシーの侵害に関するリスクに留意が必要。
  • 各地法令に基づく個人情報管理がなされており、管理状況につき問題が無いことを確認。

金属事業部門

当社グループの事業における8つの顕著な人権課題
主な人権課題 特定された顕在的・潜在的リスク 評価・対応策
労働安全衛生
  • 重量物である鋼材および鋼管の加工や輸送など、労働災害発生のリスクが高い現場を有する事業が多い。
  • 一部事業において労働災害の発生はあるものの、安全管理推進体制があること、災害発生時の再発防止等のPDCAプロセスに問題がないことを災害・安全対策推進部とも協働し確認。
  • 鋼管事業においては、グローバルでの安全管理体制の構築・運用が実施され、外注業者の労働安全のパフォーマンス管理や改善要求等が実施されていることを確認。
労働条件
結社の自由と団体交渉権
強制・児童労働
  • 鋼材および鋼管の加工や輸送などの現場においては、外国人労働者の雇用や交代勤務など、労働条件や結社の自由に十分に配慮する必要あり。
  • 鉱物を原材料とする事業であり、紛争鉱物など、サプライチェーン上流の人権尊重に配慮する必要あり。
  • 一部事業では外国人労働者の雇用があるほか、2交代/3交代の勤務形態の現場もあるが、労働組合との対話やスピーク・アップ制度に上がった事象への適切な対応等を通じて、深刻な問題が起きていないことを確認。
  • 紛争鉱物に関する調査や、取引先からの人権に関連した調査依頼に適切に対応されており、サプライチェーン上流での問題は確認されていない。
2022年度に実施

インフラ事業部門

当社グループの事業における8つの顕著な人権課題
主な人権課題 特定された顕在的・潜在的リスク 評価・対応策
労働安全衛生
労働条件
  • インフラ事業部門は、建設工事現場等、労働者の労働条件、安全衛生に留意すべき現場を有する事業が多い。
  • 労働安全衛生管理に対し、いずれの事業においても、従業員教育も含めて意識高く取り組んでいることを確認。
  • 労働条件が適切であるかを、労働者との対話等により確認し、必要に応じ対応する仕組みがあり、現状深刻な問題が起きていないことを確認。
地域住民の健康安全
土地の権利
  • 天然資源を調達・使用するインフラ事業においては、サプライチェーン上流の地域住民の人権尊重に十分に配慮する必要あり。
  • 使用する天然資源のサプライチェーン上流については、地域住民への影響に配慮し、社会・環境リスクの確認プロセスをさらに強化。
地域住民の健康安全
土地の権利
労働条件
  • 各国地域の土地開発、建設工事、インフラ設備運営等を行うインフラ事業においては、かかわる地域住民や労働者との迅速・丁寧なエンゲージメント及び適切なアクションに繋げる仕組みが重要。
  • 地域住民との対話は、事業に関する事前説明会の実施や、現地事務所における日常のコミュニケーションを含め、いずれの事業においても、丁寧に実施されていることを確認。

資源・化学品事業部門

当社グループの事業における8つの顕著な人権課題
主な人権課題 特定された顕在的・潜在的リスク 評価・対応策
労働条件
労働安全衛生
  • 鉱山事業や製造事業においては、労働者の労働条件、労働安全衛生に関するリスクが高い。
  • 事業会社において安全管理推進体制があること、災害発生時の再発防止等のPDCAプロセスに問題がないことを確認。また、労働条件に問題がないことを確認。
強制・児童労働
  • 製造事業やトレーディング事業では、サプライチェーン上流での労働条件や強制労働等の人権侵害リスクが懸念される。
  • サプライヤーに対して調達物のトレーサビリティを確認するとともに、当社グループの「持続可能なサプライチェーン行動指針」や「人権方針」を周知し、サプライチェーン上における人権侵害リスクの更なる低減を検討。
労働条件
地域住民の健康安全
土地の権利
  • 鉱山事業において、閉山時に従業員への補償(再就職補償等)や地域コミュニティや周辺環境への影響に留意が必要。また、閉山計画にそれらの点を織り込む必要あり。
  • すでに閉山計画を政府に提出済の鉱山事業においては、閉山計画制定の段階で長年にわたりコミュニティとも対話を実施しており、また、閉山後の採掘地の安定化に向けたリハビリ活動についても記載されていることを確認。
労働条件
  • 鉱山事業や製造事業において、従業員の声を拾い上げる仕組み(スピーク・アップ制度や目安箱等)を構築することが望ましい。
  • 当社グループの事業会社においてはSC Global Speak-Upが使用可能。一部の事業会社では必要に応じて、スピーク・アップ制度構築や目安箱設置を検討。
全般
  • 鉱山事業等では、当社がマイナー出資の事業が多い。人権侵害の発生や対策状況等の情報が、メジャー出資者から当社へも迅速に情報共有される体制が重要。
  • 一部事業において、事態発生後、取締役会やレポート等でメジャー出資者より当社宛に情報共有がされるよう、メジャー出資者と協議を実施。
2021年度に実施

メディア・デジタル事業部門

当社グループの事業における8つの顕著な人権課題
主な人権課題 特定された顕在的・潜在的リスク 評価・対応策
労働条件
強制労働・児童労働
  • サプライチェーン上(間接仕入先や業務委託先)で労働条件や強制労働等の人権課題が懸念される事業あり。
  • 人権方針や調達方針の策定と取引先への周知や取引先を介してのサプライチェーン上流における実態把握等の取り組みの強化につき検討。
差別・ハラスメント
  • デジタルマーケティング事業等において動画配信やエンタメ系コンテンツ、広告等の取り扱いがあり、差別的発言・表現が問題になり得るケースあり。
  • 製作者・出演者に対する注意喚起や教育プログラムの導入等、リスク防止・軽減策を検討。
個人情報・プライバシー
  • デジタルマーケティング等データ活用を進める事業や消費者向け事業が多く、個人情報漏洩やプライバシーの侵害に関するリスクに留意が必要。
  • 各事業において個人情報漏洩やプライバシー侵害に関するリスクを認識し、法令遵守を徹底して取り組んでいる点を確認。
知る権利、表現の自由
  • 海外通信事業において、通信遮断・通信傍受の指示・要請によって、知る権利や表現の自由等を侵害するリスクあり。
  • ミャンマー通信事業において、人権影響評価を踏まえ、人権の尊重に資する取り組みを継続。
新しい人権問題
(AI & Data)
  • DX/AIを推進するに際して、差別を助長するようなデータ使用・アルゴリズム使用による差別、プライバシー侵害等の人権リスクあり。
  • 比較的新しい人権リスクであり、人権侵害の事例、他社の対応、規制・ガバナンスの動向等につき詳細調査を実施。

生活・不動産事業部門

当社グループの事業における8つの顕著な人権課題
主な人権課題 特定された顕在的・潜在的リスク 評価・対応策
労働条件
(賃金・労働時間)
労働安全衛生
  • 不動産関連事業では、当社と直接の契約先のみならず、工事業者や保有不動産の管理業者等、サプライチェーン上の関係先における労働条件や労働安全衛生についても留意が必要。
  • 取引を行う工事業者や委託業者等に対してヒアリングや契約時における人権方針や調達方針の周知徹底等の対応について検討余地あり。
結社の自由と団体交渉権
  • 農地における従業員等、労働者の結社の自由・団体交渉権について、労働者の意見を吸い上げる仕組みの構築が重要。
  • 従業員へのインタビューを含む人権デューデリジェンスプロセスの構築や労働者含むステークホルダーからの意見受付窓口の設置と周知等の取り組みを実施している点を確認。
強制労働・児童労働
  • 国内事業において外国人技能実習生を起用する事業あり。
  • 食品流通はサプライチェーン上流(農地)における強制労働・児童労働に注意が必要。
  • 外国人技能実習生の起用状況の把握や労働条件・労働安全衛生に関して労働者に負の影響が及ばないように配慮している点を確認。今後も、実習生自身への定期ヒアリング等を通じて、労働環境の維持・改善に取り組む。
  • 顕在化後の調査・改善の実行ならびに潜在的リスクの高いサプライチェーンの特定・調査、等の取り組みを実施している点を確認。
土地の権利
地域住民の健康安全
  • 不動産関連事業では、土地の権利や地域住民の暮らしに影響を与える事態に備えた対応が必要。
  • 法令遵守、自治体・コミュニティへの事前説明・協議を実施している点を確認。
株式会社ディ・エフ・エフ

グリーバンスメカニズム(社外ステークホルダー向け通報窓口)

当社は、従業員を対象にした内部通報窓口のほか、一般の方やお客様を含む社外ステークホルダーの方々からのご意見やお問合せを受け付け対応しています。

2024年度からは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して苦情処理プラットフォームを提供する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員企業として加盟し、JaCERが提供する苦情処理プラットフォームでステークホルダーの方々から人権に関する様々な意見を受け付けています。専門性を有する第三者を介して意見を受け付け、公平性・透明性を向上し、受け付けた事案については、サステナビリティ・DE&I推進グループ長を含む経営陣やサステナビリティ推進委員会に報告のうえ、適時・適切に是正、再発防止を徹底しています。

匿名での通報を受け付けており、また、事案の対応にあたっては、通報したことにより通報者や関係者が不利益を被ることがないこと、並びに通報者のプライバシー、機密情報の保護に努めます。

JaCERの通報フォーム

受け付けた事案に関する進捗及び対応結果については、JaCERウェブサイト上の苦情処理案件リストで匿名性に配慮した形式にて公開されます。

株式会社ディ・エフ・エフ

人権教育

当社グループは、人権方針にある通り、幅広い国・地域、産業分野で事業活動を展開するに当たり、自社だけではなく、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーとともに、サプライチェーン全体で人権の尊重に努める責任があると考えており、当社グループ役職員を対象にした人権教育を展開しています。新任管理職研修や中途採用者研修等において人権教育を実施しているほか、2025年度は、外部講師を招き、サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスに関する対面型のワークショップを開催しました。参加者は、外部講師からデューデリジェンス実施時における確認ポイントについてレクチャーを受けたあと、グループに分かれ、様々な産業分野のサプライチェーンにおける人権リスクを取り上げながら、具体的な人権デューディリジェンスの実施方法等について議論しました。

株式会社ディ・エフ・エフ

ステークホルダーエンゲージメント、外部との協働

部門別人権デューデリジェンスおよび、人権リスクが懸念される事業個別で一部実施している人権デューデリジェンスの進捗について、必要に応じて弁護士、NGO、国連機関、コンサルタントなど様々な外部有識者とエンゲージメントを行い、その内容を取り組みの改善に活かしています。また、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの人権分科会や、国連開発計画ビジネスと人権アカデミーなど、各種外部団体の活動への参加を通じて、人権に関する知見の獲得にも取り組んでいます。

AIと人権

先進技術である AIは人々の暮らしを豊かにする一方で、その開発・運用・利活用において、プライバシーの侵害やアルゴリズムによる差別など、人権問題につながる可能性が国際的にも指摘されています。当社グループでは、人権問題を防ぐ必要性を認識し、政府機関や学会などによる議論や指針、他企業の取り組み事例等を調査しています。当社は、様々なビジネスの現場でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていますが、顧客やユーザーのプライバシーの保護、不当な差別の防止など、人権侵害を引き起こさないように取り組んでいきます。

株式会社ディ・エフ・エフ

英国現代奴隷法(Modern Slavery Act 2015)への対応

株式会社ディ・エフ・エフ

事例紹介

青果事業(Fyffes)での取り組み

当社グループの青果流通事業を展開するFyffesは、2019年より人権デューデリジェンスを開始し、過去4年間、毎年人権レポートを発行しています。2025年には、人権・環境影響評価(=Human Rights and Environment Impact Assessment, 以下HREIA)をFyffesグループ全社を対象に実施しました。最新の評価では、新たに2つの重要な人権リスクとして「先住民族の権利および土地の権利」と「十分かつ適切な住居への権利」を追加しています。

2025年において、Fyffesは独立した人権専門家と協働し、ベリーズのサプライヤー農場およびコスタリカの自社バナナ農場で現地調査を伴う詳細なHREIAを実施しました。

HREIAに加え、Fyffesは独自に産地6カ国における事業所周辺の55の地域コミュニティでコミュニティ・ニーズ・アセスメント(以下CNA)を実施し、現地の懸念点や関心事を認識すると同時に、Fyffesの事業が及ぼす可能性のある顕在的・潜在的リスクの管理・軽減を行ってきました(CNAの一環として、3,000人以上に匿名インタビューを実施済)。これらCNAの結果をもとに、Fyffesは地域プロジェクトへの投資優先順位を決定しており、顧客との協働による学校・診療所の建設、ジェンダー平等に関する研修プログラムの実施、さらにコスタリカのバナナ生産コミュニティにおいて女性のエンパワーメントを推進する「Trudi’s Partnership for Good Program」などを展開しています。

Fyffesは2019年から従業員やステークホルダー向けに国連のガイドラインに準拠した苦情処理ホットラインを提供しており、2025年にはネットワークカバレッジや対応時間の改善を目的にホットラインのアップグレードを実施し、現在はSpeak Up社のAIを活用した「Fyffes Ethics Hotline」となっています。ホットラインは、メールや農園・加工センターのポスター、タウンホールを通して従業員に周知されており、ステークホルダーはFyffes社の行動規範に違反する不正行為を報告することができます。苦情はFyffes社の倫理委員会の規約に基づいて管理され、Fyffes倫理委員会によって受領、評価、調査されます。同委員会は最高法務&コンプライアンス責任者を議長とし、最高企業広報責任者、最高人事責任者、倫理コンプライアンスマネージャーらで構成されています。

また、Fyffesは自社及びサプライヤーの人権教育にも注力しており、全従業員が人権研修(結社の自由に関する研修を含む)の受講を完了、加えて2030年までにサプライチェーンにおける全労働者に対し同様の人権研修の受講完了を目指しており、現在32%が受講完了(※)しています。さらに、Fyffesの全従業員と、サプライヤーのうち50%に対しGender Equalityプログラムの受講完了を目標に設定し、達成に向け取り組んでいます。

  • 2026年3月末時点

さらに、あらゆる強制労働と移民労働者の人権侵害は許容しないという考えのもと、サプライチェーンの主要部分である自社農園や仕入れ先の生産者、バナナの追熟工場等で、SMETA監査(Sedex Members Ethical Trade Audit)等の外部監査や、自社による内部監査を実施しています。

英国においては、人材派遣会社においても、派遣会社によるパスポートの保管等の強制労働の兆候がないか定期的な監査を実施しています。また、社内に人権および環境デューデリジェンス委員会を組成し、人権リスクへの改善策を実行に移しています。同委員会は、Fyffesが2028年に適用されるCSDDDに準拠するため、86件の行動計画を監督しています。

Fyffesは、毎年人権影響評価を実施し、3年ごとに外部専門家によるHREIAを実施することとしており、2025年12月に競合他社や多くの取引先である量販店に先駆けて、人権報告書第4版(初版は2022年1月発行)を発行しました。

またサプライヤー行動規範とデュー・デリジェンス・ポリシー [https://www.fyffes.com/our-story/policy-documents/] を導入することで第三者によるデューデリジェンスを強化し、いずれもサプライヤーとの契約にて参照・反映させています。更に、これら取組みを強化するため、CSDDDへの取り組みの一環として、サプライチェーンにおける人権や環境に関する不正行為について調査を行うためのトレーニングを受けたResponsible Supply Chain Teamを組成しました。2025年には、サプライヤーをリスク別に分類するリスク管理手続を策定しました。加えて、Fyffesの取締役会は、倫理コンプライアンス憲章(Ethical Compliance Charter)を承認しました。

また、2021年にはサステナビリティレポートを発行しています。同レポートでは、「地球環境の保全」、「人々の豊かな生活」、「健康な生活のための健康な食事」、「責任ある企業活動のための行動規範」の4つの重点分野のもと、13の具体的なサステナビリティ目標が提示されています。これらのサステナビリティ目標は、国連の持続可能な開発目標のうち特に9項目に沿ったもので、従業員、請負業者、サプライチェーンの中で働く全ての人々を対象とする人権研修実施を含めた、人権に関する6つの目標が含まれています。

GRIに準拠した同レポート第3版は2025年9月に発行されており、CSRDおよびダブルマテリアリティ評価に対応するため、2026年には新たな目標を設定する予定です。

サステナビリティレポート
サステナビリティレポート
人権レポート
人権レポート

食料事業でのサプライヤー管理と人権デューデリジェンス

当社グループの各事業が関与するバリューチェーン全体での人権尊重が推進されるよう、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーに対しても働きかけています。

食料・食品の専門商社として、商品開発から世界各地における産地の選定、原料の調達、生産・加工の管理、物流・国内流通までを一貫して手掛ける住商フーズ(株)は、人権尊重等のサステナビリティにも配慮した安全・安心で高品質な商品を提供するために、サプライチェーン管理を行っています。

海外から調達する商品を対象に順次アンケート調査を実施し、すべての海外取引先に対する調査を完了したうえで、対象を国内取引先にも拡大しています。また、調査結果を踏まえ、リスクが高いと判断された事項については、防止策や軽減策を検討・実施し、その実施状況をモニタリングすることで、継続的な改善につなげています。このように、人権デューデリジェンスのPDCAサイクルを構築し、現在は2巡目の取り組みを進めています。

ミャンマーにおける通信事業での取り組み

当社は、通信インフラの整備、営業拠点の設置、マーケティング活動などを通じて、ミャンマー国民の生活向上に寄与すべく、2014年にKDDI株式会社と共同でKDDI Summit Global Myanmar Co. Ltd.(以下KSGM)を設立し、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(Myanma Posts & Telecommunications、以下MPT)が行う通信事業運営を支援してまいりました。

2021年の非常事態宣言以降、ミャンマー国内の情勢は大きく変化し、当社の事業活動も困難な局面に直面しておりますが、これまでの技術移転・人材育成の成果を踏まえ、2025年度からはMPTへのサポート範囲を縮小しつつ、事業目的であるミャンマー国民の生活向上に努めています。

こういった経緯も踏まえ、 2022年当社はグループの人権方針に則り、外部専門家を起用し、人権影響評価を実施いたしました。当該評価では、「全従業員の安全確保」「継続的な人権デューデリジェンスの実施」「信頼できるステークホルダーとの対話と支援」などが推奨され、それに沿った取り組みを進めております。一例としては、2024年度、人権専門家の助言を得ながら、現地NGOを含む多様なステークホルダーとの対話を実施しました。これらの対話を通じ、ミャンマー国民のための通信網の維持・確保が人権尊重の観点から重要であることを再確認するとともに、人権に関する取り組みの継続と進捗の共有を求める声も認識しました。

また、2025年3月末に発生したミャンマー中部地方での大地震に際しては、迅速なネットワーク回復に向けて最大限の支援を行うとともに、義援金の拠出など、人道支援の観点からもライフラインの復旧活動を支援しております。

さらに、2025年、当社は外部専門家を起用して改めて人権影響評価を実施し、当該評価において推奨されたアクションについて、優先順位をつけて取り組みを進めております。その一つとして、2026年3月にKSGMとしての人権方針を策定し、人権尊重に関する考え方やコミットメントを明文化しました。KSGMの従業員への研修を通じ、今後その理解浸透を図ってまいります。

今後も第三者の専門的知見も得ながらステークホルダーとの対話を継続し、得られた助言を基にアクションプランを策定、人権尊重の取り組みを誠実に推進してまいります。加えて、ビジネス環境も踏まえつつ、ミャンマー国内の情勢を注視し、適切な対応を検討していきます。

なお、これまでの開示内容の詳細につきましては、以下のリンクをご参照ください。

株式会社ディ・エフ・エフ