「天然資源の持続的活用・循環型経済」についてご紹介している住友商事のサステナビリティページです。
大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動は、健全な物質循環を阻害するほか、気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の損失など様々な環境問題にも密接に関係しています。こうしたこれまでの経済・社会様式から、資源・製品の価値の最大化を図り、資源投入量・消費量を抑えつつ、廃棄物の発生の最小化につながる経済活動である「循環経済(サーキュラーエコノミー)」実現への取り組みは、気候変動対策、生物多様性の保全と並んで、国際社会共通の課題となっています。
加えて、近年では循環経済への移行が、産業競争力の強化や経済安全保障の確保にも貢献する点が強調されるようになってきています。
当社グループはリサイクル、省資源型の技術や商品への転換、森林などの天然資源の持続可能な調達に取り組むことで、限りある資源を有効に活用し、持続可能な資源循環の実現に貢献します。
森林は、計画的に伐採と育林を繰り返すことで、永久に再生が可能な循環資源です。その地域における多様な食料源や木材製品となる以外に、適切な管理によって生物多様性の保全やCO2の吸収・固定による気候変動緩和にも貢献しています。その貴重な森林資源を用いた事業を展開している当社グループでは、森林減少や劣化、人権侵害をもたらさないようガバナンス強化に努めながら、持続可能な森林経営を通じて森林資源が提供する環境・社会価値を最大化していきます。
当社は、2022年3月に住友商事グループの「森林経営方針」及び「林産物調達方針」を制定しました。
また、リスクの低減を図るためのデューデリジェンスを強化すべく、方針を実践する上での「運用ガイドライン」もそれぞれ定めています。
2022年3月制定
住友商事および連結子会社が経営する森林事業。なお、それ以外に経営に関与する森林事業のうち重要と判断したものを含みます。
本方針は、住友商事の経営会議及び取締役会議で決定されたものです。本方針の実践にあたり、重大な課題があった場合は、対応・改善策等につきサステナビリティ推進委員会などで審議し経営会議及び取締役会に報告します。
住友商事は、持続可能な森林経営を行うにあたり、森林破壊ゼロおよび人権尊重の理念のもと、グループ会社と協力して、以下の実践に努めます。
【環境面】
【社会面】
【リスク評価・モニタリング】
【認証】
【ステークホルダーとの対話】
【情報開示】
【運用ガイドラインの見直し】
2022年3月制定
住友商事および連結子会社が取り扱う原木、木材製品(合板、製材、単板、集成材)、木質チップ、木質ペレット
本方針は、住友商事の経営会議及び取締役会議で決定されたものです。本方針の実践にあたり、重大な課題があった場合は、対応・改善策等につきサステナビリティ推進委員会などで審議し経営会議及び取締役会に報告します。
住友商事は、森林破壊ゼロ及び人権尊重の理念のもと、グループ会社と協力し、サプライヤー及び顧客と連携しながら、本方針に基づいた調達に努めます。
【環境面】
【社会面】
【モニタリング】
【ステークホルダーとの対話】
【情報開示】
【運用ガイドラインの見直し】
森林経営を行う事業会社に対しては、森林保全、生態系への負荷低減や地域住民への配慮等、環境・社会面のリスク低減に向けた対応状況についてヒアリングを実施し、2025年3月期は森林経営方針に沿った活動がなされていることを確認しました。林産物のサプライヤーに対しては、年次アンケート調査や実地踏査などを実施し、2025年3月期における林産物調達方針に定めるコミットメントへの準拠を確認しました。
ニュージーランドでは「木を植えて育てて伐採した後、再度植林をする」地球環境に配慮した森林経営のもと、地域社会と共生した持続的な木材資源の供給が30年サイクルで行われています。
Summit Forests New Zealand社の保有する約5.0万haの森林では、水資源や原生林の保護、野生生物との共生が図られる他、先住民族マオリとも友好的な関係を構築して事業を運営してきました。また、保有森林の大部分で森林認証を取得しており、同社による適切な森林管理が客観的に証明されています。
SFNZ社が保有する森林
海洋ゴミ問題や温暖化問題等の地球環境問題を改善する方策として、プラスチック資源の利用量削減と有効活用の重要性は年々高まっています。その中でも、持続可能な資源循環を達成するための資源回収システムの構築が重要となってきています。トムラ・ジャパンは、TOMRA Systems ASA社(在ノルウェー)と当社の合弁会社で、PETボトルのリサイクルシステム機器(RVM:Reverse Vending Machine)等の機器販売に加え、スーパーマーケット等の小売店店頭に設置したRVMからPETボトル資源を回収し、リサイクラーへ供給するリサイクルシステムを構築・展開しています。RVMは、消費者によってキャップやラベルが取り除かれたPETボトルのみを回収するため、不純物が少なく高品質な資源を集めることができます。同社は、回収した高品質な資源の供給を通じ、従来よりPETボトルからPETボトルをつくる水平リサイクルに貢献してきましたが、PETボトルからポリエステル衣類にも貢献することを目指し、2021年度に「bottlium®」というブランドを立ち上げました。実用例として、2025年大阪万博にて住友グループパビリオン「住友館」のアテンダントユニフォームに「bottlium®」素材が使用されています。繰り返し洗って使える衣類へのリサイクル、従来行ってきたPETボトルの水平リサイクル、消費者の積極的な参加を呼び掛け、より良質な資源を効率よく回収・リサイクルすることで、これからも環境負荷の低減と資源循環社会の発展に貢献していきます。
RVMをプラットフォームとした循環リサイクルシステム(水平リサイクル)
Reverse Vending Machine
トムラ・ジャパンリサイクルブランド「bottlium®」
同社の高品質資源を活かし、薬剤不使用のリサイクルでつくられる。中空等の特殊加工繊維にも利用できる。
「住友館」のアテンダントユニフォームのジャケットとパンツに使用されている。
当社グループの物流機能を担う、住商グローバル・ロジスティクス㈱は、マキシコン(MAXICON)と呼ばれる内袋式・折畳式IBC(※)のレンタル事業を展開しています。従来、食品・香粧品業界において流通するIBCの多くが購入・使い捨てタイプであったことに対し、マキシコンは「レンタル式IBC」の先駆け的存在として業界を牽引し、廃棄物を大幅に削減する循環型物流を実現しています。また、一斗缶・バッグインボックス・ドラム缶など小型容器を使用していた企業が、少子高齢化・運賃や包材コスト高騰等による深刻な影響を背景に、作業効率・輸送効率に優れるマキシコンを導入する事例が増えており、小型容器を使わない/捨てないという選択が、資源保全に繋がっています。これからも同社はマキシコンでサステナブルな物流に取り組んでまいります。
定番商品:マキシコン・マーク2
マキシコンが実現する循環型物流
当社は在米国JEX Technologies社への出資を通じて、非鉄金属鉱山事業の環境負荷の軽減に取り組んでいます。同社が保有するHydro-Jex®は、非鉄金属鉱山におけるHeap Leaching Padの残留金属を回収する技術です。本技術は採掘量を増やさずに金属生産量を増やす技術であり、生産量単位当たりの温室効果ガス排出量の削減と、新規開発される鉱山数の削減に間接的に貢献しています。また本技術はHeap Leaching Padの安定性の向上や、有害物質漏出リスクの低減にも寄与しています。
当社グループでは、認証木材の取り扱いを積極的に推進することを目標に掲げ、取り組んでおります。2025年3月期のニュージーランド(Summit Forests New Zealand)における認証材取り扱い実績は下表の通りでした。
2024年度実績 | |
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認証材原木(ニュージーランド材) | 237千トン |