「人権の尊重」についてご紹介している住友商事のサステナビリティページです。
2020年5月制定
住友商事は、広く社会に貢献するグローバルな企業グループを目指し、人間尊重を経営姿勢の基本とすることを経営理念の中で掲げています。私たちは、企業に求められる社会的責任として人権を尊重し、社会とともに持続的に成長することを目指します。
住友商事は、2009年に経営理念と共通の価値観を提唱するものとして、人権や労働の分野を含む「国連グローバル・コンパクト10原則」に署名しています。また、「国際人権章典」および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」が定める人権を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って活動します。
当社グループは、国連グローバル・コンパクト 10 原則及び国際労働機関(ILO)が中核的労働基準として定めている5分野10条約「結社の自由・団体交渉権の承認」「強制労働の禁止」「児童労働の禁止」「差別の撤廃」「安全で健康的な労働環境」を支持、尊重するとともに、事業活動を行う世界各国の法令を遵守し、人権課題に取り組んでいます。特に、「差別の撤廃」に関しては、人種、国籍、性別、宗教、信条、年齢、出身、身体的・精神的障害、その他業務の遂行と全く関係のない事由に基づく差別を行ってはいけない旨を明確にしています。また、各国の労働基準や労働協約に基づき、最低賃金の遵守にも取り組んでいます。
世界人口の多くは子どもや若者で占められており、当社グループがグローバルに企業活動を行うにあたって、直接的にも間接的にも子どもの生活に影響を及ぼすことを認識しています。企業にとって子どもは、従業員の家族でもあり、さらにはこれからの社会の持続的発展を担う重要なステークホルダーです。こうした認識に基づき、当社グループは、国連グローバル・コンパクト10原則に署名するとともに、「子どもの権利とビジネス原則」の内容を尊重し、事業活動および社会貢献活動を通じて子どもの権利が侵害されることがないよう取り組んでいきます。
当社グループは人権尊重へのコミットメントの一環として「先住民族の権利に関する国際連合宣言」「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(free, prior and informed consent:FPIC)」の原則などの、先住民の権利に関する国際規範を尊重します。また、先住民が在住する地域での事業活動においては、先住民が有する固有の文化や歴史を認識し、それぞれの国や地域で適用される法令を遵守します。
当社グループは、世界各国で事業展開を行うにあたり、従業員の安全・安心を守るため警備会社を起用します。必要に応じて、武装警備員を起用することもありますが、起用にあたっては、それに伴う人権リスクを認識した上で、事業活動を行う各国の法令を遵守するとともに「安全と人権に関する自主原則」や「法執行官による力と銃器の使用に関する基本原則」に沿った警備会社の選定を行っていきます。
当社は、「住友商事グループ人権方針」に基づき、当社グループの事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、2020年より人権デューデリジェンスを開始しました。2020年度は、その最初のステップとして、グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、優先的に対応すべき顕著な人権課題の特定に取り組みました。2021年度から2024年度にかけては、社外有識者を起用し、全事業を対象に人権デューデリジェンスを実施し、人権リスクの特定と評価を行いました。
全事業を対象とする人権デューデリジェンスが一巡したことから、今後は、ライツホルダーとのエンゲージメント等も含め強化した人権デューデリジェンスの実践などを通じて、リスクベースアプローチで取り組んでいきます。リスクベースアプローチで人権デューデリジェンスに取り組むためには当社グループにおける人権リスクが高い事業の特定が必要なことから、2024年度は、これまでの人権デューデリジェンスの結果および各事業の特性・リスク等も踏まえた全社的なリスクマッピングをおこないました。具体的には、OECDが定めるデューデリジェンスのガイダンスに基づき、4つのリスク要因(セクター、製品、地理的、企業固有)を踏まえつつ、サステナビリティアドバイザリーボード委員を含む社外有識者の意見を得ながら、高リスク事業の特定に取り組みました。 リスク要因の検討に際して、以下のような文献、規制、外部指標等を参照しました。
セクターや製品のリスク:SASB Standards, 米国労働省「List of Goods Produced by Child Labor or Forced Labor」など10超の文献、規制
地理的リスク:Global Rights Indexなど
また、各セクター・製品のリスクの整理においては、当社グループの8つの顕著な人権課題に「顧客の健康と安全」「サプライチェーン上流の課題」の2つを加えた計10項目とし、それに地理的リスクを加えてマッピングを行い、以下のように整理しました。
人権リスクへの対応については、そのリスクの深刻度や事業への関与度合い等、さまざまな要因によって対応方法や時間軸が異なることから、各SBUや事業会社が主体となり実施していく必要があります。特定・評価した人権リスクについては、その重要性に基づき、SBU・事業会社が優先順位付けをした上で、具体的なアクションプランに落とし込み、リスク対応状況の確認、リスク顕在化の防止を含む必要な施策の実施を行い、PDCAサイクルを回していきます。
これまで当社では、デスクトップ調査で、当社グループの事業における人権課題を8つの顕著な人権課題を中心に俯瞰的に洗い出し、他社も含めたグローバルで発生している顕在化事例等も参考に、相対的に人権リスクが高いと思われる事業部門から人権デューデリジェンスを実施してきました。
具体的には、外部専門家を起用し、部門に属する全てのSBUに対してインタビューを実施し、それぞれの事業におけるサプライチェーンや事業活動に関連する地域住民等、ステークホルダーへの影響を含めたビジネスの実態や顕在化事例を確認するとともに、想定される潜在的リスクについても特定し、それらに対する対応状況もヒアリングしました。ヒアリング結果を踏まえて、人権リスクの発生可能性と発生した場合に生じる深刻度の観点から、優先してリスク低減に取り組むべきSBU、あるいはSBU内の個別事業を特定しました。以後、サステナビリティ推進部と対象SBU・対象事業会社が協力し、特定された人権リスクに対する具体的な防止・軽減策の検討・実行を進めています。また、このプロセスを通じて、改めて住友商事グループの役職員に対して、企業の人権尊重に係る責任について理解・浸透を促しています。
森林事業、林産物調達関連の事業を展開する同イニシアチブにおける人権リスクについては、森林経営方針、林産物調達方針に基づき、先住民の権利や労働条件、労働安全衛生などを中心にサプライヤーも含めて年次で状況確認を実施しており、問題が生じていないことを確認しています。
今回の部門別人権デューデリジェンスにおいては、それ以外の事業に関してインタビューを通じた状況確認を実施しました。事業の特性を踏まえ、労働安全衛生や労働条件、地域住民の健康安全といった人権リスクを中心に確認を行った結果、人権リスクの顕在化、および手当てがされていない潜在的な高リスクは確認されませんでした。
主な人権課題 | 特定された顕在的・潜在的リスク | 評価・対応策 |
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労働条件 労働安全衛生 結社の自由と団体交渉権 |
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強制・児童労働 |
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個人情報プライバシー |
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主な人権課題 | 特定された顕在的・潜在的リスク | 評価・対応策 |
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労働安全衛生 |
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労働条件 結社の自由と団体交渉権 強制・児童労働 |
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主な人権課題 | 特定された顕在的・潜在的リスク | 評価・対応策 |
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労働安全衛生 労働条件 |
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地域住民の健康安全 土地の権利 |
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地域住民の健康安全 土地の権利 労働条件 |
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主な人権課題 | 特定された顕在的・潜在的リスク | 評価・対応策 |
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労働条件 労働安全衛生 |
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強制・児童労働 |
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労働条件 地域住民の健康安全 土地の権利 |
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労働条件 |
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全般 |
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主な人権課題 | 特定された顕在的・潜在的リスク | 評価・対応策 |
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労働条件 強制労働・児童労働 |
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差別・ハラスメント |
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個人情報・プライバシー |
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知る権利、表現の自由 |
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新しい人権問題 (AI & Data) |
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主な人権課題 | 特定された顕在的・潜在的リスク | 評価・対応策 |
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労働条件 (賃金・労働時間) 労働安全衛生 |
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結社の自由と団体交渉権 |
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強制労働・児童労働 |
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土地の権利 地域住民の健康安全 |
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当社は、従業員を対象にした内部通報窓口のほか、一般の方やお客様を含む社外ステークホルダーの方々からのご意見やお問合せを受け付け対応しています。
2024年度からは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して苦情処理プラットフォームを提供する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員企業として加盟し、JaCERが提供する苦情処理プラットフォームでステークホルダーの方々から人権に関する様々な意見を受け付けています。専門性を有する第三者を介して意見を受け付け、公平性・透明性を向上し、受け付けた事案については、サステナビリティ・DE&I推進グループ長を含む経営陣やサステナビリティ推進委員会に報告のうえ、適時・適切に是正、再発防止を徹底しています。
また、事案の対応にあたっては、通報したことにより通報者や関係者が不利益を被ることがないこと、並びに通報者のプライバシー、機密情報の保護に努めます。
受け付けた事案に関する進捗及び対応結果については、JaCERウェブサイト上の苦情処理案件リストで公開されます。
当社グループは、当社グループ人権方針にある通り、幅広い国・地域、産業分野で事業活動を展開するに当たり、自社だけではなく、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーとともに、サプライチェーン全体で人権の尊重に努める責任があると考えており、当社グループ役職員を対象にした人権教育を展開しています。新任管理職研修や中途採用者研修等において人権教育を実施しているほか、2024年度は、サプライチェーン全体での人権尊重への取り組みの必要性や事業活動を行う上で注意を要する人権問題に関するe-learningを国内外の地域組織および連結子会社まで対象を拡大し、展開を完了しました。また、EUのコーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)の内容を中心とした人権に関する法規制や外部動向に関して、外部講師によるオンラインでの勉強会を開催、子会社も含めて約400名の役職員が参加しました。
部門別人権デューデリジェンスおよび、人権リスクが懸念される事業個別で一部実施している人権デューデリジェンスの進捗について、必要に応じて弁護士、NGO、国連機関、コンサルタントなど様々な外部有識者とエンゲージメントを行い、その内容を取り組みの改善に活かしています。また、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの人権分科会や、国連開発計画ビジネスと人権アカデミーなど、各種外部団体の活動への参加を通じて、人権に関する知見の獲得にも取り組んでいます。
先進技術である AIは人々の暮らしを豊かにする一方で、その開発・運用・利活用において、プライバシーの侵害やアルゴリズムによる差別など、人権問題につながる可能性が国際的にも指摘されています。当社グループでは、人権問題を防ぐ必要性を認識し、政府機関や学会などによる議論や指針、他企業の取り組み事例等を調査しています。当社は、様々なビジネスの現場でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていますが、顧客やユーザーのプライバシーの保護、不当な差別の防止など、人権侵害を引き起こさないように取り組んでいきます。
当社グループは、英国で施行された現代奴隷法に基づき、取引先やビジネスパートナーとともに、奴隷労働や人身売買などを防止すべく取り組んでいる内容について、各社取締役会で決議した声明を公表しています。
当社グループの青果流通事業Fyffes社は、競合他社に先駆け2019年から人権に関するデューデリジェンスを4年間実施しており、2024年には外部専門家を起用しベリーズの自社農園1社とコスタリカの取引先農園2社に対し人権デューデリジェンスを実施しました。2025年にも、これまでの人権影響評価(=Human Rights Impact Assessment)に環境に関するデューデリジェンスも含めた人権・環境影響評価(=Human Rights and Environment Impact Assessment, 以下HREIA)をFyffesグループ全社を対象に実施予定です。
HREIAに加え、Fyffesは独自に産地6カ国における事業所周辺の55の地域コミュニティでコミュニティ・ニーズ・アセスメント(以下CNA)を実施し、現地の懸念点や関心事を認識すると同時に、Fyffesの事業が及ぼす可能性のある顕在的・潜在的リスクの管理・軽減を行いました(CNAの一環として、3,000人以上に匿名インタビューを実施済)。
Fyffesは2019年から従業員やステークホルダー向けに国連のガイドラインに準拠した苦情処理ホットラインを提供しており、2023年にはホンジュラスとベリーズにおける不備を解消するために同ホットラインのプロバイダーを変更して対応しました。ホットラインは、メールや農園・加工センターのポスター、タウンホールを通して従業員に周知されており、ステークホルダーはFyffes社の行動規範に違反する不正行為を報告することができます。苦情はFyffes社の倫理委員会の規約に基づいて管理され、Fyffes倫理委員会によって受領、評価、調査されます。同委員会は、最高企業広報責任者、最高人事責任者、最高法務&コンプライアンス責任者、倫理コンプライアンスマネージャーで構成されています。
また、Fyffesは自社及びサプライヤーの人権教育にも注力しており、全従業員が人権研修(結社の自由に関する研修を含む)の受講を完了、加えて2030年までにサプライチェーンにおける全労働者に対し同様の人権研修の受講完了を目指しており、現在12%が受講完了(※)しています。さらに、Fyffesの全従業員と、サプライヤーのうち50%に対しGender Equalityプログラムの受講完了を目指し、取組みを開始(※)しました。
さらに、あらゆる強制労働と移民労働者の人権侵害は許容しないという考えのもと、サプライチェーンの主要部分である自社農園や仕入れ先の生産者、バナナの追熟工場等で、SMETA監査(Sedex Members Ethical Trade Audit)等の外部監査や、自社による内部監査を実施しています。
英国においては、人材派遣会社においても、派遣会社によるパスポートの保管等の強制労働の兆候がないか定期的な監査を実施しています。また、社内に人権および環境デューデリジェンス委員会を組成し、人権リスクへの改善策を実行に移しています。同委員会は、Fyffes社が2028年に適用されるCSDDDに準拠するため、86件の行動計画を監督しています。
Fyffes社は、上述のHREIAを毎年実施することとしており(3年に一度は外部専門家を起用)、2024年9月に競合他社や多くの量販店に先駆けて、人権報告書第3版(初版は2022年1月発行)を発行しました。
またサプライヤー行動規範とデュー・デリジェンス・ポリシー [https://www.fyffes.com/our-story/policy-documents/] を導入することで第三者によるデューデリジェンスを強化し、いずれもサプライヤーとの契約にて参照・反映させています。更に、これら取組みを強化するため、CSDDDへの取り組みの一環として、サプライチェーンにおける人権や環境に関する不正行為について調査を行うためのトレーニングを受けたResponsible Supply Chain Teamを組成しました。加えて、Fyffesの取締役会は、倫理コンプライアンス憲章(Ethical Compliance Charter)を承認しました。
また、2021年にはサステナビリティレポートを発行しています。同レポートでは、「地球環境の保全」、「人々の豊かな生活」、「健康な生活のための健康な食事」、「責任ある企業活動のための行動規範」の4つの重点分野のもと、13の具体的なサステナビリティ目標が提示されています。これらのサステナビリティ目標は、国連の持続可能な開発目標のうち特に9項目に沿ったもので、従業員、請負業者、サプライチェーンの中で働く全ての人々を対象とする人権研修実施を含めた、人権に関する6つの目標が含まれています。
同レポート第2版は2023年9月に発行されており、GRIに準拠した第3版を2025年9月に発行予定です。
当社グループの各事業が関与するバリューチェーン全体での人権尊重が推進されるよう、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーに対しても働きかけています。
食料・食品の専門商社として、商品開発から世界各地における産地の選定、原料の調達、生産・加工の管理、物流・国内流通までを一貫して手掛ける住商フーズ(株)は、人権尊重等のサステナビリティにも配慮した安全・安心で高品質な商品を提供するために、サプライチェーン管理を行っています。
海外から調達する商品から順次アンケート調査を実施し、すべての取引先の調査を終え、国内の取引先へ広げています。また、調査の結果、リスクの高いものについて、リスクの防止や軽減策を検討・実施し、その結果についてモニタリングし、さらなる改善につなげていくという人権デューデリジェンスのPDCAの構築がスタートしています。
南アフリカ共和国では過去にアパルトヘイトが行われていた背景から、黒人の経済活動への参画に対する権利と機会の不公平を解消し、地位の向上を目的とする政策があり、一定数以上の黒人企業が事業に参画することや、売上の一部を地域に還元することが義務付けられています。
同国で当社グループが出資しているDorper陸上風力発電事業会社は、この政策に沿って発電所近郊の幼稚園・学校及び病院の建屋改修や機材の供与、黒人女性が運営するレストランへの支援等を行い、地域住民の生活環境改善及び新規雇用創出に協力しています。また、これらの貢献を行うにあたっては、極力地域の業者を起用しています。同事業会社の株式の一部は地域住民が運営する現地スポンサーが保有しており、同社への配当を原資として地域住民の要望に応じた各種事業を行っています。
資源開発プロジェクト推進にあたっては、地元地域の理解が必要不可欠です。マダガスカル・アンバトビーのニッケル鉱山の開発プロジェクトでは、開発当初より外交団や融資銀行団の協力も得ながら政府や地元住民と対話を積極的に行うことで、「このプロジェクトがマダガスカルの将来にとって極めて重要であること」を共有し、プロジェクトの意義の相互理解を深めるように努力しています。アンバトビー・プロジェクトでは、マダガスカル人の雇用とスキル向上も促進しており、全従業員中約9割がマダガスカル人(2024年実績)であり、マダガスカル従業員に対する技術移転、人材育成にも計画的に取り組んでいます。また、地域コミュニティの協力のもと、本プロジェクトによる事故等の未然の防止、発生した事故等への対応のために、人権侵害を含めあらゆる内容の苦情受付システムを設置しています。個人の秘密を保護しながら、苦情へ適切に対応しています。
2016年からは、人権と安全に関するプログラムVPSHR(the Voluntary Principles on Security and Human Rights)に、NGO、マダガスカル政府、他国大使館と連携しながら、アンバトビー・プロジェクトも参加しています。
プロジェクト内に建設した小学校
当社は、通信インフラの整備、営業拠点の設置、マーケティング活動などを通じて、ミャンマー国民の生活向上に寄与すべく、2014年にKDDI株式会社と共同でKDDI Summit Global Myanmar Co. Ltd. を設立し、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(Myanma Posts & Telecommunications、以下MPT)が行う通信事業運営を支援してまいりました。
2021年の非常事態宣言以降、ミャンマー国内の情勢は大きく変化し、当社の事業活動も困難な局面に直面しておりますが、これまでの技術移転・人材育成の成果を踏まえ、2025年度からはMPTへのサポート範囲を縮小しつつ、事業目的であるミャンマー国民の生活向上に努めています。
こういった経緯も踏まえ、 2022年当社はグループの人権方針に則り、外部専門家を起用し、人権影響評価を実施いたしました。当該評価では、「全従業員の安全確保」「継続的な人権デューデリジェンスの実施」「信頼できるステークホルダーとの対話と支援」などが推奨され、それに沿った取り組みを進めております。一例としては、2024年度、人権専門家の助言を得ながら、現地NGOを含む多様なステークホルダーとの対話を実施しました。これらの対話を通じ、ミャンマー国民のための通信網の維持・確保が人権尊重の観点から重要であることを再確認するとともに、人権に関する取り組みの継続と進捗の共有を求める声も認識しました。
また、2025年3月末に発生したミャンマー中部地方での大地震に際しては、迅速なネットワーク回復に向けて最大限の支援を行うとともに、義援金の拠出など、人道支援の観点からもライフラインの復旧活動を支援しております。
今後も第三者の専門的知見も得ながらステークホルダーとの対話を継続し、得られた助言を基にアクションプランを策定、人権尊重の取り組みを誠実に推進してまいります。加えて、ビジネス環境も踏まえつつ、ミャンマー国内の情勢を注視し、適切な対応を検討していきます。
なお、これまでの開示内容の詳細につきましては、以下のリンクをご参照ください。