「人財」についてご紹介している住友商事のサステナビリティページです。
当社グループでは「グローバル人材マネジメントポリシー」に目指すべき「社員(個)」と「会社(組織)」の姿を掲げており、「個」と「組織」がともに成長する関係を構築することで、「Enriching lives and the world」の実現を目指しています。
当社グループの人財に脈々と受け継がれている住友の事業精神を礎に、社員一人ひとりが能力・ポテンシャルを発揮するための土台となる「職場環境・組織風土」づくりとともに、「確保」「育成」「適所適材」「評価」「処遇」の観点から、さまざまな施策・制度を運用し、人材マネジメントサイクルの高度化に取り組んでいます。同時に「Top Tierプロフェッショナルの拡充」「Pay for Job, Pay for Performanceの徹底」「DE&Iの推進」「ピープルマネジメント力の強化」をコンセプトに、一人ひとりに自律的な成長と自己実現の場を提供し、価値創造への挑戦を後押ししています。
こうしたサイクルによって、多様な人財と組織のパフォーマンスを最大化することで「目指す姿」を実現し、当社グループの新たな価値創造につなげています。
なお、重要な人材マネジメントに関する方針・戦略・施策は、経営会議で議論し、取締役会で重要な方向性の決定と監督・モニタリングを実施しています。
住友商事グループは、グローバルベースでの人材マネジメントに関するビジョンや大切にしたい考え方を示し、個別人事施策の拠り所としながら、新たな価値創造に向けた人材マネジメントを実現するため、「グローバル人材マネジメントポリシー」を制定しました。
住友商事グループは、「グローバル人材マネジメントポリシー」を通じて、グローバルベースでの人材マネジメントに 関するビジョンを示し、全ての人事施策の拠り所とすることで、新たな価値創造に向けた人材マネジメントを実現します。
住友商事グループは、グループの理念やビジョンに共感し、高い志を持ち、自律的な成長を続け、進取の精神で、グローバルフィールドで新たな価値創造に挑戦する人財集団を目指します。
住友商事グループは、個々人がイキイキと、新たな価値を生み出し続ける「Great Place to Work」をグローバルに築き上げ、世界に人財を輩出する「挑戦の場」として選ばれ続ける組織を目指します。
住友商事グループは、Diversity, Equity & Inclusion を「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と位置づけ、DE & I を妨げるあらゆるバリアの撤廃を進め、知のミックスを活かして、ビジョンの実現を追求します。
住友商事グループは、以下の考え方を大切にし、人材マネジメントを実践します。
ビジネスの成長戦略を後押しする
現場の課題やニーズに応じて柔軟性を持たせる
「中長期の視点」と「客観性」を担保し、フェアに報いる
誰からも解りやすく透明性の高い運用継続により納得感を高める
個々の責任・コミットを伴う判断や行動、説明責任を重んじる
自らの想いを伝え、相手に敬意を持ち、意を引き出し、くみ取る
現地の法律・制度や契約の遵守を徹底する
住友商事グループは、多様な人財にとって魅力ある集団であり続けます。人財の確保にあたり、国籍・性別・年齢などを問わずコアバリューを共有できることを大切にします。
住友商事グループは、「人材育成」の精神を大切にし、アンテナ高く学び続けながら主体的に成長していく個人をサポートします。
住友商事グループは、組織の成長と価値向上への貢献について透明性高くフェアに評価し、個人と組織の成長に繋げます。
住友商事グループは、多様な個のポテンシャルを最大限に引き出しTalent Review とSuccession Planning を通じて真にビジネス戦略に即した適所適材を徹底します。
住友商事グループは、トータル・リワードを大切にしながら、さまざまな価値創造の担い手に光を当て、リスペクトし、フェアな処遇を実現します。
住友商事グループは、健康・安全で健全な職場環境を提供します。また、信頼をベースとした人間関係と、心理的安全性のもとで個々人の成長を後押しする職場風土を作っていきます。
この「グローバル人材マネジメントポリシー」は住友商事グループのすべてのメンバーが、「Ownership」と責任をもって、実行します。
このポリシーをもとに、当社グループは、「グループの理念やビジョンに共感し、高い志を持ち、自律的な成長を続け、進取の精神で、グローバルフィールドで新たな価値創造に挑戦する人財」をグループ全体で拡充していきます。また、個々人がイキイキと新たな価値を生み出し続ける「Great Place to Work」をグローバルに築き上げ、世界に人財を輩出する「挑戦の場」として選ばれ続ける組織を目指していきます。
グローバルにビジネスを展開する当社では、当社のビジネスや理念に共感し、高い志を持ち、自律的な成長を続け、進取の精神で、グローバルフィールドで新たな価値創造に挑戦する人財を求めています。国籍、性別、年齢等、あらゆる属性に関係なく、応募者のプロフェッショナリズム・能力・経験・ポテンシャル・志を基準とし、基本的人権を尊重した差別のない公平公正な採用活動を基本方針としています。経営戦略・事業戦略に沿った人財を通年で機動的に採用すべく、新卒採用、キャリア採用ともに積極的に行っています。
(単位:人)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | ||
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新卒(※1) | 209 | 154 | 106 | 101 | 100 | 99 | |
男性 | 118 | 102 | 75 | 72 | 63 | 62 | |
女性 | 91 | 52 | 31 | 29 | 37 | 37 | |
キャリア(※1) | 35 | 27 | 20 | 75 | 88 | - | |
男性 | 27 | 24 | 14 | 47 | 68 | - | |
女性 | 8 | 3 | 6 | 28 | 20 | - | |
キャリア採用比率(※2) | 14% | 15% | 16% | 43% | 47% | - |
※2024年5月1日公表
当社では、採用に関する各種セミナーに加えて、学生のキャリア形成を支援する機会を設けています。
総合商社のビジネスを体感でき、キャリア観醸成につながる機会を提供すべく、例年、大学生・大学院生向けのインターンシップを実施しています。
2023年度は、当社が手掛けるビジネスに関連した3つのテーマの対面型プログラムを実施しました。
1つ目は、再生可能エネルギー事業を題材とし、住商パーソンのリアルな業務を体感できるプログラム。2つ目は、次世代モビリティ事業をテーマに、「独自性」や「創造性」などのデザイン思考力を駆使した新規ビジネスの創出プロセスを体感できるプログラム。3つ目は、化粧品事業を題材とし、総合商社として化粧品事業に取り組む意義を体感できるプログラムです。
実際の事業立案プロセスを体感いただき、総合商社のビジネスへの理解を促すことで、学生のキャリア観醸成を支援するとともに、当社ならではの新たな価値創造プロセスへの理解醸成に取り組んでいます。
(過去参加者数実績)2020年度164人/2021年度148人/2022年度230人/2023年度319人
私たちを取り巻くビジネス環境は目まぐるしく変化しており、この変革の時代を勝ち抜くため、住友商事も新しい事業分野に挑戦し、既存のビジネスをさらに拡大・高度化していく必要があります。こうしたビジネスニーズに対応すべく、事業戦略に基づき、さまざまな専門性や知見を有するプロフェッショナル人財をキャリア採用しています。キャリア採用者のバックグラウンドは多岐にわたり、弁護士や会計士等の有資格者から、製造、金融、メディア・IT業界出身者等、各々の分野におけるプロフェッショナルが、それぞれの専門性を活かしながら、当社のフィールドで活躍しています。
また、当社がキャリア採用に期待しているのは専門性、知見だけではありません。物事の考え方や業務の進め方等、多様なバックグラウンドから生み出される自由な発想や価値観が会社や組織を活性化させ、当社の競争力強化につながるものと考えています。当社は新卒採用とともに今後もキャリア採用を促進し、多様な人財の確保に努めます。
住友商事グループにとって、人財は最重要の経営資本です。2020年に制定したグローバル人材マネジメントポリシーにおいては「目指す個の姿」として「グループの理念やビジョンに共感し、高い志を持ち、自律的な成長を続け、進取の精神で、グローバルフィールドで新たな価値創造に挑戦する人財」と謳っています。これを具現化するために最も重要なことは、「世界で通用する力(=専門性)を、一人ひとりが高めること」です。このような「Top Tierのプロフェッショナル集団」育成のために、OJTとOFF-JTを連動させることが欠かせません。業務上の成功や失敗の「内省・振り返り」、経験の「一般化・概念化」を行うことや、業務に必要なスキル・ナレッジを身につけることで、より高度な仕事に取り組むことが可能となります。
当社では、住商ビジネスカレッジ(通称:SBC)として年間のべ200講座のOFF-JT研修を開催し、多様な分野で活躍する個々人がそれぞれのフィールドで必要とされる知識・スキル等を主体的に学べる環境を構築しています。また、個々人のキャリア観・経験・適性・課題を踏まえ、人材育成していくことが大切だと捉えており、多くの人がモチベーション高く仕事をし、それぞれが持つプロフェッショナリズムを徹底的に高め発揮するための「キャリア開発研修」や、組織と個人の成長につなげていくために、部下一人ひとりと向き合い、動機付け、多様多彩な人財を束ねる「ピープルマネジメント力」「Diversity,Equity&Inclusion」を強化する研修にも注力しています。 また、事業経営に必要な知識・スキルを習得する機会として長期・選抜プログラムを継続実施しており、プログラム終了後には多くの人財が国内外の事業会社経営を担って活躍しています。社内プログラムのみならず、海外エグゼクティブ・プログラム等社外で開催されるレベルの高い研修等も活用し、人材育成の強化に努めています。
また、2024年度からは、勤務地や勤務状況に左右されない平等な自己学習機会の提供と、自ら学ぶラーニングカルチャーを社内醸成し、社員一人ひとりの自律的な成長、キャリア形成を後押しすることを目的に、e-learningプラットフォームのLinkedInラーニングを全社導入しました。
SBC研修 | SBC以外で各部門主催で開催している研修 | 合計 | |
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延べ年間開催講座数 | 195講座 | 868講座 | 1,063講座 |
延べ研修参加人数(単体) | 5,442人 | 35,088人 | 40,530人 |
延べ研修開催時間(単体) | 44,623時間 | 61,982時間 | 106,605時間 |
従業員一人当たりの平均研修受講講座数(単体) | 1.1講座 | 7.0講座 | 8.1講座 |
従業員一人当たりの研修受講時間(単体) | 8.9時間 | 12.3時間 | 21.2時間 |
長期選抜プログラムでは、短期プログラムでは習得が難しい経営観の醸成、自己改革、実践的リーダーシップの習得を目指します。各研修とも第一線で活躍されている方、今後リーダーとしての活躍が期待される方を選抜し、多様な分野における「Top Tierのプロフェッショナル」の育成・活躍を推進するプログラムを提供しています。
将来、経営を担うポジションでの活躍が期待され、全社的な経営視点を持つことが望まれる部長~課長クラスを対象に、トップマネジメント、異業種メンバー等との対話を通じて、経営層からの薫陶や社外からの刺激を受け、経営者が持つべき大局的な視点・思考・覚悟について気づきを得るためのプログラムです。約30人が参加し、6カ月間、約30日間のセッションをもとに、住友商事の経営戦略を構想するとともに、ありたい姿に向けたリーダーとしてのアクションプランを発表します。
将来の経営者として、SBU長・本部長目線での戦略立案を経験することが求められる社員を対象としたプログラムです。さまざまなケーススタディを通じて経営者としての疑似体験を繰り返し、大局観や戦略思考・決断力・リーダーシップを習得します。加えて、別子銅山訪問やリーダー哲学セッションを通じて、経営や組織人財にかかわる持論・世界観を固め、自身の経営観を醸成します。本プログラムには約25人が参加し、約10カ月間、全20回程度の講義を受講後、「SBU/本部/主管事業会社のトップとして、10年後のありたい姿」をテーマにプレゼンテーションを行います。
各組織において将来経営幹部候補人材として活躍が期待される社員を対象に、国内外ビジネススクール等のエグゼクティブ・プログラムへ社費にて派遣しています。
「将来の経営者としての意識及び発想の醸成」、「総合的なマネジメント知識と経営判断力の習得」、「他社人材や経営者との交流による啓発」等を目的に、国内ビジネススクール等へ年間30人以上、海外トップレベルのビジネススクールにも毎年継続して10人以上を派遣しています。
選択式プログラムでは、ビジネスを通じ社会に貢献できる経営人財として活躍するために必要となる知識・スキルを基礎レベルから高度なものまで幅広く網羅した80種類以上のプログラムを用意しています。まずは、商社パーソンとしての標準装備を身につけるため「入門編」「基礎編」を受講した後、数あるプログラムの中から、自身の業務を遂行する上で必要な知識・スキルを得られるプログラムを自由に選択して受講することができます。経営に必要なリテラシーや各種専門知識・理論・フレームワークを現在の所属部や業務にかかわらず学べるようになっており、常に学び続ける社員を研修の側面からサポートする環境を設けています。
昇グレードのタイミングで階層別プログラムとして理解すべき社内制度やビジネスを推進するためのリテラシーに関する研修を実施しています。入社時からシニアマネジメントまで、研修を通じて各階層に求められる期待・役割を認識し、行動変容のきっかけとします。なお、当社グループ会社向けの階層別研修も提供しています。こうした階層別研修においては、「ビジネスを通じて社会に貢献できるリーダーシップの醸成」に重点を置き、自律的な自己成長のための気づきを得られるプログラムを提供しています。
新入社員を一人前の社会人、一人前の住商パーソンに育成する初期教育として、指導員制度・新人サポーター制度は重要な制度となっており、それぞれに研修を実施しています。
新入社員が、初めて経験する社会人生活を円滑にスタートできるよう実務面でのOJT 支援(業務内容の説明や社会人としての基本動作の徹底)と住商パーソンとしての総合的な人間教育、当社社員として持つべき価値観、組織の仕事文化の伝承等、住商パーソンとして成長していくための土台となるマインドを醸成します。
新入社員の社会人生活のソフトランディングを支援することを目的に、22年度より新人サポーター制度を導入しました。新人サポーターは新入社員と少し離れた立ち位置の先輩として、定期的な1on1面談などを通じて支援・育成を行います。上司・指導員と連携しながら組織全体での人材育成を目指します。
指導員 | 新人サポーター | |
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要件 | P1(APも可) | |
任期 | 1年間 |
※APは「Advanced プロフェッショナル」、P1は「プロフェッショナル1」の略
※上司は「プロモーター」として、一段高い目線での指導・組織全体での新人指導・育成の環境づくりを行う。
住友商事グループでは、グローバルな企業グループとして世界各所で活躍できる社員の育成を目的に数多くの研修生プログラムを用意しています。
グローバルフィールドで活躍できる人財の育成を目的とした「トレイニー」、語学・地域スペシャリストを養成するための「語学研修生」、MBAを中心とした「海外留学生」、さらには国内スタートアップ企業における個の力の醸成を目的とした「ベンチャーインターン」や新興国でのビジネスに特化した「グローバルインターン」があります。
これら「研修生制度」を活用し、毎年80~100人程度、国内外問わず世界中のあらゆる地域に社員が派遣され、活躍しています。
住友商事グループは、広く社会に貢献するグローバルな企業グループとして「人間尊重を基本とし、信用を重んじ確実を旨とする」ことを経営理念に掲げています。この経営理念に基づき人権問題をはじめとするさまざまな課題に配慮すべく「人権方針」、「サプライチェーンCSR行動指針」を制定し、企業に求められる社会的責任として人権を尊重し、社会とともに持続的に成長することを目指しています。それらを踏まえ、当社では人権・同和問題推進委員会を設置して、毎年各階層に部落差別、障がい者差別、在留外国人差別、インターネット上の人権侵害等の人権問題について社内で議論する場を設けています。また、人権問題のさらなる啓発を図るべく、外部の講師を招いた「人権研修」を毎年実施しています。これに加えて企業活動が人権に与える影響と企業の人権尊重の責任に関するe-learningコンテンツを配布し、さらなる社内啓発活動に努めています。 さらに、メンタルヘルスや人事労務についての研修も実施しています。管理職を対象とした階層別研修ではハラスメント予防に関する内容も取り入れており、ハラスメントが発生しない環境づくりや、万が一発生した場合の対処等についても教育・啓発を実施し、職場における人権侵害が起きないように徹底しています。
当社グループの根底には、いつの時代でも、目の前の変化に惑わされることなく、「信用・確実」「浮利を追わず」「公利公益」に重きを置きつつ、「進取の精神」をもって変化を先取りしていくという、400年にわたり脈々と受け継がれてきた「住友の事業精神」が流れています。この当社グループの「経営理念」の源流である「住友の事業精神」を体感・継承していくことを目的として、愛媛県新居浜市の別子銅山を訪問する研修を毎年実施しています(2020年度・2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)。1691年の開坑から1973年の閉山までの約280年間にわたり銅を生産し続け、住友の事業の根幹を支えた銅山を訪れることで、当社グループが社会で果たすべき役割等を再確認する機会となっています。また、全役職員が入社時に別子銅山の歴史を学習しています。
当社グループでは、国内・海外のグループ企業に対しても育成に力を入れているため、本社で培った育成ノウハウを生かしグループ向けのプログラムを提供しています。研修を通じて、グループ会社間交流・豊かな人脈形成が行われています。
海外拠点や事業会社の採用社員の育成をサポートするため海外ナショナルスタッフ研修を階層別に英語で実施しています。世界各地での採用社員を東京本社に集め、住友商事グループの理念・戦略に関する講義や、クロスカルチャー・リーダーシップなどのビジネススキル研修を通じて、住友商事グループの一員としての一体感の向上とスキルアップを図っています。
※2020~2022年度はオンライン形式で実施
将来の経営を担う経営人財として活躍が期待される住友商事グループ社員を対象に、長期的視野に立ったビジョンや戦略を描くスキルを習得するとともに戦略実行に向けて、組織を率いるためのリーダーシップを磨くプログラムです。
国内のグループ会社向けに、各階層に求められるリーダーシップマインドとスキルを効果的に習得し、さらなるステップアップのきっかけとするプログラムを新人研修・中堅社員・上級マネージャー、事務職と幅広く用意しています。
当社は、東京都中央区銀座に「グローバル人材育成拠点」と「価値創造空間」を兼ねた研修施設「住友商事グローバル人材開発センター」を保有しています。グローバルベースでのさらなる人材育成の強化と多様な人財の活躍促進の拠点として、当社グループの社員同士が職場や国を越えて集い・語らうことで将来のビジョンや戦略等、新しい価値創造の発信源となっています。
当社は連結子会社であるトヨタイラクを通じて、現地での安定した雇用機会創出と求職者の技能向上を支援すべく、職業訓練プログラムを実施しています。イラクでは紛争の長期化による国民への被害が甚大で、これまで300万人以上が居住地を離れざるを得ない、いわゆる国内避難民(Internally Displaced Persons,以下「IDPs」)となっています。また、近年は特に若年層における雇用問題も深刻であり、現地では技能教育や雇用の機会を創出することが急務となっています。このような問題に対し、トヨタイラクでは2016年以降UNDP(United Nations Development Programme)と共同でIDPsを対象に職業訓練を行っており、2020年からは国連傘下組織にあたるIOM(International Organization for Migration)とも新たに手を組みIDPs以外にも対象を広げ、これまで通算計9回の職業訓練を通じて108名の卒業生を輩出しています。また、訓練プログラム卒業生に対して、地元企業への就労支援を行っており、現在もプログラムを継続しています。地域社会の持続的な発展は住友商事の願いであり、今後もイラクにおける雇用機会の創出と技能向上を支援していきます。
人財の育成は一朝一夕になしえるものではないため、中長期的なスパンでそれぞれのビジネスの成長を捉え、必要となる人財の育成・活用を考えていく必要があります。事業戦略に応じた戦略的な人材配置をグローバル連結ベースで継続的に実現していくためにも、住友商事グループでは、単体・海外・事業会社を問わず、全ての当社グループの人財の活躍に向けて、以下の施策に取り組んでいます。
当社の人事制度においては、「グローバル人材マネジメントポリシー」で掲げる、「自律的な成長」や「Great Place to Work」を実現すべく、上司・部下間で質・量ともに従来以上のコミュニケーションを実施し、会社の期待と個人のキャリア志向の擦り合わせを行った上で、異動・配置を行っています。また、当社が総合商社として、その時々の社会課題に即したソリューション(付加価値)を継続的に生み出していくには、多様な知見と専門性を有する商社パーソンの継続的な育成が不可欠です。その人材プール拡充のために、今後もローテーションを実施していきます。一方で、ポリシーに掲げる「Top Tierのプロフェッショナル」育成のためには、これまでのような一律のローテーションではなく、多様なローテーションが必要であり、1つの分野のアサインメントに長期間携わって専門性を高めるようなケースもあります。
現在進めている人材マネジメント改革では、「個」と向き合うピープルマネジメント力の強化を重要テーマとして、各種施策を取り入れています。評価制度では「個」にフォーカスする絶対評価を導入したことで、一人ひとりが果たすべきアサインメントとそのアサインメントに基づく目標について、具体的な行動事実や進捗、成果を、他者との比較ではなく、その被評定者に求める期待水準との比較によって評価します。また、評価の客観性や納得性を向上させるとともに、「個」と真摯に向き合い、そのポテンシャルを引き出すことを促進する仕組みとして「360度評価」を導入しています。360度評価は現時点では管理職以上のみの運用としていますが、対象者と業務上の関係があるメンバーから多面的な評価コメントを集め、それをもとに上司が最終的に評価を行います。これにより、対象者が周囲からどう評価されているかの情報を補強し、上司のピープルマネジメント力を向上させるとともに、部下一人ひとりとのより真摯な向き合いにつなげ、部下本人にとっても良い気付きの機会とすることを目的としています。
さらに当社では年1回、上司と部下がキャリアについてすり合わせを行う「キャリアアセスメント面談」を設けています。日々のコミュニケーションの集積である評価を人材育成につなげるためにキャリアアセスメントを連動することを意識しています。ここでは、中長期的な視点で個々人のキャリア観や経験・適性・課題のレビューを行い、会社が期待する業務・育成ニーズと各自の志向のマッチングを行っています。面談の場を上司と部下がキャリアプランや克服すべき課題に徹底的に向き合う機会であるとの意識改革を行い、また、この真剣勝負のコミュニケーションを支援するために、コミュニケーションスキルの向上や、部下との向き合い方の参考となる研修プログラムも拡充しています。
これらの評価制度やキャリアアセスメントを通じて、一人ひとりに寄り添った成長支援や多様なキャリアの実現を目指しています。その他にも社内公募制や計画的なローテーションといった制度を組み合わせることによって、一人ひとりの自律的な成長と多彩なキャリア開発を支援し、「Top Tierのプロフェッショナル人財」を継続的に輩出していきます。
「事業戦略管理の強化」策の一つとして、戦略遂行度評価を導入しています。この制度は、SBU等戦略単位ごとのKPI・KAIの達成状況を評価し、報酬に反映することで、戦略分類や事業ステージにかかわらず、掲げた目標達成への取り組みをしっかりと評価し、一人ひとりの成し遂げるコミットメントの強化を目指すものです。戦略実現に向けたKPI・KAIの実行・取り組みの好事例の共有やPDCAサイクルの高度化にもつなげていきます。
「投資の厳選/投資後のバリューアップ強化」策の一つとして、投資パフォーマンス連動報酬制度を導入しています。本制度は、新規投資案件のパフォーマンスを報酬に反映することで、新規大型投融資案件の成功確度向上と、投資実行者の案件に対する「Sense of Ownership」の向上を図るものです。
当社グループでは、グローバル展開に対応する人財の確保・育成を強化するために、海外組織やグループ会社での採用社員の登用と育成にも力を入れています。その一環として、海外採用社員等を対象とした階層別(経営幹部、マネージャー、実務担当者)研修を実施。この研修は、「住友の事業精神」や当社グループの「経営理念」の再確認を通じ、グループの一員としてDNAの共有や一体感の醸成、経営方針や経営戦略に関する情報共有、各種講義によるスキルアップを図っています。
住友商事グループでは、国籍や所属にかかわらない、グローバル連結ベースでの適所・適材の配置を推進しています。こうした方針を踏まえ、海外採用社員や事業会社社員が国や会社を超えて異動しています。また、グローバル連結ベースでの適所・適材に向けて、住友商事グループでは、海外採用社員を海外拠点長として積極的に登用しています。
拠点トップ・経営幹部クラス:36人
※2024年4月時点
年1回のエンゲージメントサーベイにて、①組織へのコミット度合いや、仕事における自発的な取り組み意欲を示す社員エンゲージメント、②社員一人ひとりの持つ能力を発揮するための働く環境について調査しています。人材マネジメントの領域にとどまらず、事業戦略や組織体制、仕事の進め方等さまざまな要素が影響を及ぼすものであり、サーベイ結果を丁寧に読み解きながら、さまざまな施策を全社・現場レベルで推進しています。
2023年度からは、国内・海外拠点における採用社員も含め全世界の社員を対象として同サーベイを実施する他、役員報酬における株式報酬の算定指標の一つに同エンゲージメント指数も追加し、前年度比向上を目標として掲げ、達成有無を確認しています。
0→1 Nextは2018年度に0→1 チャレンジという名称でスタートした社内起業制度を2024年度から一部内容をアップデートし運営しているものです。所属・職位・年次を問わず、全世界の住友商事グループ社員を対象に、現場社員の一人ひとりによる新たな事業アイデアを実現することを目的としています。今までにない発想(ゼロ)から次世代のビジネス(ワン)を創造する、というコンセプトの制度です。また、新事業の実現に加え、チャレンジを通じて事業構想力やリーダーシップを磨くことも目的としています。自分のアイデアを「絶対に実現する」という情熱・自発的な意志を起点に、チャレンジャーは所属組織の枠を越えて積極的に社内外の人・組織と交流・コラボレーションし事業構想を磨き込みます。そうした挑戦者の姿や志は、社内に広く共感を呼んでおり、チャレンジ文化の醸成にもつながっています。2018年度から2023年度の6年間で1,000件を超える応募がありました。2023年度末時点では、過年度に選考を通過したアイデアを含めた合計15件が事業化に向け活動をしています。住友商事グループでまだ着手していない、社会の潮流を捉えた新たなアイデアを実現すべく、挑戦者は熱心に取り組んでいます。仮にチャレンジが終了しても、事業開発を経験した人財がその後組織内で活躍することや、挑戦者の奮闘を目にした社員も刺激を受けることで、既存事業での新たな取り組み、社内外との積極的な交流等、組織活性化にもつながっています。
2019年度に、社外で活躍中の当社Alumniと現役職員の交流を行う場として「SC Alumni Network」を立ち上げました。社内外の多様な知見・人的ネットワークの融合を通じ、新たなビジネスチャンスの創出につなげるとともに、よりオープンな企業風土の醸成を目指していきます。さらにAlumniには人材確保面でのサポーター的役割を期待して多面的な連携を図っていきます。
「MIRAI LAB PALETTE」は、住友商事グループという枠を超えて、多様な分野のパートナーと一緒に、新しい価値を創り出していくコミュニティのオーガナイザーとして、さまざまなコラボレーションを推進しています。MIRAI LAB PALETTEは、住友商事の創立100周年事業の一環として2019年にオープンしました。
「これまでの慣習にとらわれず、全く異なるカラーの人たちや最先端のテクノロジーと出会い、刺激し合える場であること。そして、あらゆる組織の壁を超えて新しい価値を創造していくこと。」というコンセプトのもと、多種多様な人々が出会い、共創を生み出していくための施設(大手町)や機能を提供しています。
MIRAI LAB PALETTEの最大の強みは多様性であり、産学官民問わず多種多様なメンバーが7,500名以上(2024年8月時点)登録しています。また、月間の来館者数は平均1,800名程度となっています。
コラボレーションスペースの提供、イベントやプログラムの開催、メンバー間のマッチングなど、日々さまざまな活動を通じて、あらゆる垣根を越えたコラボレーションを生み出しています。
住友商事労働組合と締結している労働協約に基づいて、経営方針や事業状況に関する社員への説明や、賃金、労働条件、人事、安全衛生、福利厚生等に関する協議を定期的に実施しています。同協約において「会社は、労働条件の維持改善と組合員の生活の安定確保を図り、組合は、労働の秩序と規律を遵守し、労働能率の向上に努力し、双方協力して事業の発展を期する」として、その目的を定めており、相互理解、相互信頼の基本姿勢のもと、個々の具体的案件につき、真摯かつ十分な議論を尽くすよう努めています。団体交渉事項、事務折衝事項に加え、幅広く意見を交換する場として「社長との懇談会」、「業績及び中期経営計画等に関する懇談会」、「人財戦略・人事制度に関する懇談会」、「働き方・働きがいに関する懇談会」や、会社・組合の共催でセミナー・企画を実施しています。また、キャリア採用が増える中で、ネットワーキングに関する取り組みを会社・組合双方で実施しています。ユニオンショップ制を採用しており、一定以上の役職者及びその他業務の性質等を勘案して個別の合意に基づき非組合員とする者を除いた全職員が加入することとなっています。2024年3月時点で、住友商事労働組合の組合員数は3,200人、住友商事の社員に占める労働組合員比率は65%となっています。
当社グループの最重要の経営資本は人財です。さまざまなビジネスフィールド・地域において活躍する社員の姿、多様なキャリアのあり方等を、インタビューを通じてご紹介します。